はしかの皮膚症状には、医学的に極めて明瞭なパターンが存在します。臨床現場において医師が診断の決め手とするのが、発疹が出現する部位の順番と広がり方です。
麻疹ウイルスに感染すると、約10〜12日(最大で7〜14日程度)の麻疹潜伏期間を経て発症します。その後、咳や鼻水が続く初期段階を経て、患者が「はしか発疹いつから出るのか」と不安を募らせるタイミング、すなわち発熱から3〜5日目に皮膚症状が一気に噴き出します。
発疹はまず、耳の後ろ、生え際、首筋、顔面といった頭頚部から現れます。最初は数ミリ程度の小さな鮮紅色の斑状丘疹(やや盛り上がった赤いブツブツ)ですが、出現後1〜2日という猛烈なスピードで胸、背中、腹部などの体幹へ、そして腕や足の末梢へと遠心性に広がっていきます。
皮膚科学会等のはしか発疹写真画像や臨床アトラスを確認すると明らかなように、はしかの発疹は個々の斑点が独立しているだけにとどまりません。病勢がピークに達する発症後5〜7日目頃には、隣り合う発疹同士が互いにくっつき合って融合し、皮膚全体が赤紫色や暗赤色の大きな地図状の紅斑へと変貌します。皮膚が正常な隙間を失うほど真っ赤に覆われるこの様相こそが、他のウイルス性発疹症には見られない麻疹の決定的な外観的特徴です。
なお、外来で患者から頻繁に尋ねられるのがはしか発疹かゆみ有無についてです。アトピー性皮膚炎やじんましんのような激しい掻痒感(強いかゆみ)を伴うことは稀ですが、患部の強い熱感や軽いむず痒さ、皮膚が突っ張るような不快感を訴える患者は少なくありません。