もつ焼きばんの歴史は、創業者である小林勝(こばやし まさる)氏が1958年に目黒区中目黒の駅前で開いた小さな立ち飲み店から始まりました。当時の日本は高度経済成長期の入り口にあり、日々の労働を終えた庶民が安く、旨い酒と肉を求めて集まる社交場として瞬く間に評判を呼びました。
同店を語る上で欠かせない最大の功績が、「レモンサワー」の誕生です。当時、独特の風味を持っていた焼酎甲類をいかに飲みやすく爽快に提供できるかを探求した小林氏が、炭酸水と生のレモン果汁をスクイーザー(搾り器)とともに客へ提供し、炭酸の「サワー(酸味)」から着想を得て「レモンサワー」と命名しました。この画期的なスタイルが博水社のハイサワーなどの普及とともに全国へと広まり、日本の居酒屋文化を根底から変える一大ムーブメントとなりました。
中目黒駅前の再開発に伴い、2004年に惜しまれつつ一度暖簾を下ろしたものの、翌2005年に祐天寺の地で復活を遂げました。その後、創業の地である中目黒への再進出や五反田などへの展開を果たし、半世紀以上の伝統を誇る今なお、大衆酒場の象徴として愛され続けています。