ネット上のレシピ情報やSNS動画では、見た目のシズル感を重視するあまり、調理科学的に逆効果な手順が拡散されているケースが散見されます。代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
【誤解1:片栗粉で無理にとろみをつける】
タレが肉に絡まないからといって、水溶き片栗粉をタレに混ぜてしまうレシピがありますが、これは大きな落とし穴です。片栗粉のとろみは中華風の「餡かけ」になってしまい、豚丼本来の「高温で砂糖と醤油が焦げて肉に焼き付く香ばしさ(メイラード反応)」を完全に阻害してしまいます。正しいとろみは、片栗粉ではなく「みりんと砂糖の糖分をフライパン上で適切に煮詰めること」で作るのが鉄則です。
【誤解2:肉を焼く前にタレに長時間漬け込む】
「肉に味を染み込ませたい」と数時間前からタレに漬け込むのもNGです。醤油の強い塩分によって肉の細胞から水分(ドリップ)が抜け出し、焼いたときに肉質がパサパサに縮んでしまいます。プロの名店が提供する豚丼のジューシーさは、肉そのものは直前に焼き、外側に濃厚なタレを何層にも重ねてコーティングすることで実現されています。