オーディションで宮﨑駿監督の鋭い眼力に留まり、映画『君たちはどう生きるか』の主演に抜擢された出来事は、彼の役者人生における決定的な転機だった。声優の専門家ではない若手俳優が、ジブリ映画の主演という巨大な重責を背負う。そのプレッシャーは並大抵のものではなかったはずだ。
しかし、彼は見事に打ち勝った。台詞の行間に漂う感情の揺らぎや、少年の抱える孤独と葛藤を見事なリアリティで声に乗せてみせたのだ。試写を観た映画関係者から「声だけでこれほど感情のひだを表現できるのか」と驚嘆の声が上がったのも記憶に新しい。