臨床的な疾患としての不安は、日々のちょっとした心配事とどこが違うのか。現代の精神医学において、全般性不安障害(GAD: Generalized Anxiety Disorder)は明確な診断基準を持つ精神疾患として扱われる。慢性的な焦燥感やコントロール不能な不安が6ヶ月以上にわたって続き、社会生活や仕事に大きな支障を及ぼしている場合がこれに該当する。
精神医学の標準的ガイドラインであるアメリカ精神医学会の「DSM-5」によれば、不安感に伴って疲労感、集中力の低下、筋肉の緊張、頭痛、激しい睡眠障害などが複合的に現れる。これは根性論や気分の持ちようで解決できるものではなく、脳内の神経伝達物質の不均衡やストレス耐性が複雑に絡み合った生物学的・心理的反応なのだ。
国内においても、日本精神神経学会などの専門機関が疾患への正しい理解を呼びかけている。周囲が「考えすぎだ」「気にしなければいい」と一蹴してしまうことが、当事者を孤独に追いやり、症状を悪化させる一因になりかねない。