石段を踏みしめるごとに、肌を撫でる冷気が濃くなっていくのを感じる。上色見熊野座神社に祀られているのは、日本神話の国生みにおいて名高い伊邪那岐命と伊邪那美命、そして阿蘇開拓の祖神・健磐龍命の重臣である石君大将軍だ。
神社本庁に属する由緒正しき紀州熊野の御分霊を勧請したと伝えられ、古くから縁結びや五穀豊穣、商売繁盛の神として郷土の暮らしを見守ってきた。全国屈指のパワースポットとして語られる所以は、神仏習合時代の山岳信仰を色濃く残す急峻な地形と、悠久の時を刻む巨木群が醸し出す圧倒的な気配にある。
参道に並ぶ約100基の石灯籠には深い緑の苔がびっしりと張り付き、光と影のコントラストが息をのむほど美しい。ただ歩くだけで心が洗われ、背筋が自然と伸びるのを感じるはずだ。