オーボエという楽器は、数ある管楽器のなかでも最もコントロールが難しいとされる。微小な湿度の変化や数ミリのリードの削り具合によって、音色は劇的に変化してしまう。ここで独占秘話として明かしたいのが、彼女の徹底した道具への偏愛とクラフトマンシップだ。
彼女が選ぶ愛用楽器は、自らの呼吸と完全に一体化するように極限まで調整された逸品である。自作するリードの一本一本に、その日の気温や演奏会場の音響特性まで計算に入れたミリ単位の微調整が施される。「音を出す前の準備こそが演奏の8割を決める」と言わんばかりの執念。この妥協なき職人技こそが、あの艶やかで深みのあるトーンを生み出す源泉なのだ。