映画『君の名は。』のビジュアルモデルとしては、岐阜県飛騨地方や長野県の諏訪湖、東京都内の四谷界隈などが広く知られています。しかし、物語の根本を形づくる「神話的構造」の着想源を辿ると、茨城県日立市大みか町に位置する大甕神社の存在が浮かび上がってきます。
作中で糸守町を襲う「1200年周期で地球へ接近するティアマット彗星」と、宮水神社に代々受け継がれてきた「組紐を編む儀式」。一見するとファンタジックなフィクションに見えるこの設定ですが、日本書紀に記された大甕神社の起源説話と驚くほどの一致を見せています。
古来、神話の世界において「星」は災いや不穏の象徴とされるケースが多く、星そのものを御神体として祀る神社は全国的にも極めて稀です。大甕神社が伝える「暴れ回る星の神を、布や糸を司る神が鎮めた」という伝承は、彗星の脅威に糸の力(結び)で立ち向かう映画のプロットそのものと言えます。