あまりに出来過ぎたストーリーゆえに、後を絶たないのが「すしざんまい海賊デマ説」や「美談は嘘」という批判的な指摘です。結論から言えば、木村社長が現地関係者と接触し漁業支援を行ったことは事実ですが、単独で海賊を全滅させたとする物語は著しい誇張が含まれています。
木村社長本人の著書やインタビューを丹念に追うと、彼が実際に活動拠点としたのはソマリア本土の海賊アジトではなく、隣国ジブチでした。ジブチ政府の要請や自衛隊の活動支援を契機に、ジブチ側の漁民や元海賊予備軍に対して中古漁船や冷蔵設備を供与し、マグロの延縄漁などの技術指導を行ったというのが喜代村によるソマリア・ジブチ支援の実態です。
獲れたキハダマグロを日本へ空輸するルートも実際にテストされましたが、輸送コストの高さや現地のサプライチェーンの未整備、さらには政情不安の継続により、安定した商業ベースに乗せることは極めて困難を極めました。「海賊を全員マグロ漁師にして魚を仕入れまくっている」というイメージは、ネットの拡散過程で尾ひれがついた虚構であり、現実のビジネスと人道支援は泥臭く過酷な挑戦の連続でした。