制度化へのハードルが高い一方で、国民感情のレベルでは異なる傾向が見られます。大手報道機関やシンクタンクが実施した各種世論調査では、「終末期における安楽死の選択肢を認めるべきか」という問いに対し、賛成または容認する回答が60%〜70%を超える結果が継続して報告されています。
ネット上のコミュニティやSNSでは、以下のようなリアルな声が日々交わされています。
- 容認派の意見:「認知症が進んで自分が誰かも分からなくなる前に、尊厳を保ったまま幕を引きたい」「延命治療で管につながれ、苦しみ続けるだけの時間を過ごしたくない」「自分の命の終わり方を自分で決める権利は基本的人権の一部のはずだ」
- 慎重・反対派の意見:「もし制度ができたら、祖父母が『早く死ななきゃ』と言い出しそうで怖い」「福祉や年金制度の削減口実に使われるのではないか」「誤診や判断能力が低下した状態での悪用を防ぐ確実な手段がない」
実際にスイスへ渡航して家族を見送った遺族のドキュメンタリーや手記では、「本人の耐え難い苦痛から解放された安堵感」と同時に、「本当にこれでよかったのか、自分が引き止めるべきではなかったのかという消えない自責の念」が吐露されています。制度を利用した当事者は苦痛から解放される一方で、遺された家族には長期にわたる複雑なグリーフ(悲嘆)と心理的葛藤が残るという側面も、現場の取材報道から浮かび上がっています。