森村桂の小説が巻き起こしたブームを決定づけ、当時の若者カルチャーに不朽の刻印を押したのが、1984年に公開された角川映画『天国に一番近い島』です。メガホンを取ったのは「映像の魔術師」と称された大林宣彦監督、ヒロイン・桂木万里役を演じたのは当時トップアイドル・女優として絶大な人気を誇っていた原田知世でした。
本作のメインロケ地として選ばれたのが、ニューカレドニア本島の北東に位置するロイヤルティ諸島のひとつ、ウベア島(Ouvéa)です。約20km以上にわたって続く真っ白なパウダースノーのような砂浜「ムリのビーチ」や、エメラルドグリーンに輝くラグーンにかかる「ムリの橋」は、大林監督特有の叙情的な映像美によってスクリーンに焼き付けられ、多くの観客を魅了しました。
さらに、原田知世自らが歌った同名主題歌「天国に一番近い島」(作詞:松本隆、作曲:細野晴臣)も大ヒットを記録。「風が通り抜けてゆく」という透明感あふれる歌詞とアンビエントなメロディは、ニューカレドニアの空気感そのものを象徴するマスターピースとして、現在も日本のポップス史に燦然と輝いています。