日常生活における環境配慮を巡っては、科学的データと世間のイメージに大きな乖離が存在します。その代表例が「レジ袋の削減=環境問題の根本解決」という思い込みです。
エコバッグ・マイボトル活用やプラスチックごみ削減は海洋資源保護や資源循環の観点から極めて意義深い取り組みですが、ライフサイクルアセスメント(LCA)の視点で見ると、綿製エコバッグは数百回以上、ステンレス製ボトルは数シーズン以上繰り返し使わなければ、製造・輸送時に排出されたCO2を相殺できません。「エコグッズを次々に買い替える」行為は、かえって環境負荷を増大させる結果を招きます。
もう一つの見落とされがちな巨大要素がフードロス削減の取り組みです。国連環境計画(UNEP)の報告書によれば、世界の温室効果ガス排出量の約8〜10%は廃棄される食品に由来しています。食品が生産・輸送・冷却され、最終的に焼却処分される全工程で膨大な化石燃料が消費されるため、家庭内で食材を使い切り、食べ残しをゼロにすることは、あらゆるプラスチック削減策を凌駕する強力な温暖化抑止力となります。