ネット上の悪質な嫌がらせや名誉毀損に対しては、違法な私的特定ではなく、法律に基づいた正当な発信者情報開示請求の手順を踏む必要があります。法改正を経た現在、権利侵害を受けた被害者を救済するプロセスはより迅速化されています。
従来は「コンテンツプロバイダ(SNS運営企業)」と「アクセスプロバイダ(通信キャリア等)」に対して2段階の裁判を起こす必要があり、特定までに1年近くかかることも珍しくありませんでした。現在は「非訟手続(提供命令制度)」の活用により、1つの裁判手続きの中でIPアドレスの開示から契約者情報の特定までを一括して進めることが可能となっています。
合法的に相手の素性を明らかにする標準的なフローは次の通りです。
- 証拠保全:対象の投稿URL、投稿日時、アカウント情報、侵害箇所のスクリーンショットを正確に保存する。
- 発信者情報開示命令の申立て:裁判所に対し、SNS事業者(X社やMeta社など)へIPアドレスおよび接続先タイムスタンプの開示を求める。
- 通信事業者へのログ保存要請:IPアドレスから判明したプロバイダ(NTT、KDDI、ソフトバンク等)に対し、通信ログの消去禁止を求める。
- 契約者情報の開示命令:プロバイダから契約者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスの開示を受け、相手を特定する。
気になる弁護士による投稿者特定費用ですが、着手金と報酬金を合わせておおむね40万〜100万円前後が実務上の相場です。裁判で勝訴した場合、特定にかかった調査費用の一部を加害者側へ損害賠償として請求できる判例も定着しています。