市船校歌の歌詞には、葛南の豊かな風土と若者たちの瑞々しい息吹が格調高い言葉で刻まれています。一般的な高校校歌にありがちな抽象的なスローガンにとどまらず、自然の情景と内省的な情熱が美しい日本語で織り上げられている点が大きな特徴です。
1番では「丘の緑に 風薫る」という船橋の高台に位置する学び舎の情景から始まり、若さという無尽蔵の泉が湧き出るさまが歌われます。サトウハチロー氏特有の平易でありながら深い余韻を残す言葉選びは、生徒たちの心に郷土愛と誇りを自然に芽生えさせます。そして2番、3番へと進むにつれて、知性の探求や不屈の闘志、未来への飛翔といった普遍的な青年期の理想が壮大に描かれていきます。
音楽面においては、山田耕筰氏が得意とした「日本語の抑揚(イントネーション)と旋律の完璧な一致」が見事なまでに体現されています。西洋音楽の和声理論を基礎としながらも、日本古来の情緒を損なわないメロディラインは、大編成の吹奏楽演奏でも独唱でも圧倒的な存在感を放ちます。甲子園球場のアルプススタンドで歌われた際、球場全体を包み込むような独特の重厚感と透明感は、計算し尽くされた音響構造が生み出す芸術的効果です。