自由が丘という街の歴史において、「九品仏川緑道」は特別な意味を持ちます。かつて暗渠化された川の上に整備されたこの遊歩道は、ベンチや樹木が配置され、歩行者専用の憩いの空間として発展してきました。その緑道沿いにいち早くテラス席文化を持ち込み、定着させた立役者の1つが「カスタネット」でした。
当時の現場を知る地元住民の手記や回顧録には、以下のような生の証言が残されています。
「まだ自由が丘にチェーンの大型カフェが少なかった時代、カスタネットのテラスに座ることは、この街に暮らす人や訪れる人にとってひとつのステータスであり、最高のリフレッシュだった。風が抜ける緑道を見ながら過ごす休日の午後こそが、自由が丘らしさそのものだった」(当時通い詰めた地元デザイナーの回顧手記より)
カスタネットが提示した「テラス席×上質洋食×緑道景観」というフォーミュラは、その後の自由が丘エリアに誕生する無数のカフェやショップのデザインコードに決定的な影響を与えました。単なる飲食店にとどまらず、都市の景観価値そのものを高めた先駆的功績は極めて大きいと言えます。