どれほど完璧な包丁さばきを披露しても、切る前の下処理を怠ると生臭さが残って台無しになります。スーパーのパックに入っている柵は、流通の過程で魚の体内水分と酸化した脂が混ざり合った「ドリップ」を表面にまとっています。このドリップこそが生臭さ(トリメチルアミン)の元凶です。
家庭で手軽に料亭の味を再現するためのドリップ処理のコツは以下の3ステップです。
① 振り塩による余分な水分の抽出:
柵全体にほんのわずかな塩(重量の約0.5〜0.8%)を均一に振り、5分から10分ほど置きます。浸透圧の作用により、臭みを含んだ水分が表面に浮き上がってきます。
② 料理酒または冷水での表面洗いと徹底拭き取り:
浮き出た臭み成分を料理酒(または氷水)で素早く洗い流し、厚手のキッチンペーパーで水分を徹底的に吸い取ります。水気は刺身の大敵です。ペーパーの上から優しく手のひらで押さえ、完全に乾いた状態を作ります。
③ 刺身柵の保存方法と温度管理:
すぐに切らない場合は、新しいキッチンペーパーで柵を隙間なく包み、その上からラップで密着させてチルド室(0〜2℃前後)で保管します。魚の脂は室温で急速に酸化するため、切る直前まで冷やし続けることが鮮度をキープする秘訣です。