路上トラブルの動画は日常的にネットへ投稿されていますが、なぜこの動画だけが突出して長期にわたるネットミームへと昇華したのでしょうか。その要因を分析すると、メディア構造とインターネット集団心理が絡み合った3つの明確な理由が浮かび上がります。
第1に、「映像としての視覚的キャッチーさ」です。単なる音声や文章の喧嘩ではなく、カメラにしっかり視線を合わせてポーズを決めるという、どこか決め台詞のようなアクションが完結していた点です。これが動画共有プラットフォームにおいて、ワンアクションで真似できる格好の素材となりました。
第2に、匿名掲示板「なんJ(5ちゃんねる なんでも実況J板)」でのコピペ化です。なんJにおいて、相手を威圧・論破する際の煽りフレーズや定型句としてスレッド内に定着し、文脈を問わずあらゆるスレッドで改変コピペが投下されました。文章としての汎用性の高さが、テキストベースのコミュニティでの延命につながりました。
第3に、ニコニコ動画やYouTubeにおける「音MAD」カルチャーとの親和性です。音声のピッチ(音高)を変えて楽曲のリズムに合わせる素材として非常に扱いやすく、数百万回再生を記録する二次創作動画が連発されました。これにより、元ネタのトラブルを知らないライト層や中高生層にまでフレーズだけが浸透していったのです。