2009年1月期にフジテレビ系で放送された『メイちゃんの執事』は、宮城理子による同名漫画の実写化作品。主演は当時17歳の榮倉奈々、相手役に水嶋ヒロを配したラブコメディで、お嬢様学校に編入した普通の少女・メイと、彼女に仕えることになった完璧な執事・柴田理人の関係を描いた。
視聴率データを見ると、この作品の「強さ」が際立つ。初回視聴率は14.9%、全10話の平均視聴率は14.0%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。同クールで放送されていた作品の中では上位に位置し、特に10代〜30代女性層の支持が厚かった。最終回は16.6%を記録し、有終の美を飾っている。
作品の魅力は「逆シンデレラストーリー」という設定の斬新さに加え、水嶋ヒロの「完璧な執事」としての存在感にあった。常にメイの一歩後ろを歩き、危険から守り、どんなピンチもスマートに解決する。その立ち居振る舞いは「執事ブーム」を巻き起こし、放送終了後には関連書籍が売れ、執事喫茶の来店客数が前年比で約2倍になったというデータも残る。
特筆すべきは、柴咲コウのゲスト出演だ。当時すでにトップ女優として確固たる地位を築いていた彼女が第5話に特別出演したことは、この作品のキャスティング力の高さを象徴していた。柴咲はメイの母親・本郷美羽役を演じ、娘を思うが故に過酷な運命を選ばせるという、物語の核心に迫る役どころだった。この母親像は後述する「家族社会学」的な視点からも極めて重要な意味を持つ。
水嶋ヒロ自身は当時のインタビューで、柴田理人について「感情を表に出さない役だからこそ、目の動きや指先の所作にすべてを込めた」と語っている。この言葉通り、理人のキャラクターは派手なアクションではなく、繊細な表情の変化と沈黙の中の気遣いで構成されていた。今なお「水嶋ヒロの理人を超える執事キャラはいない」という声がSNS上で繰り返し投稿される理由も、この演技設計の妙にあると言える。