医療現場で行われる盗撮は、日常空間での犯行とは異なり、医療機器の配置や検査手順の盲点を突いた極めて巧妙な手口が用いられます。押収された証拠品や公判の証言から明らかになった主な手口は以下の通りです。
健康診断の心電図検査での盗撮手口では、ベッド脇の機器ラックやカルテ置き場、あるいは検査機器のコード類に紛れ込ませる形で超小型ペン型カメラやスマートフォンが設置されるケースが散見されます。受診者が仰向けになり胸部を露出した瞬間、ブラインドコーナーから自動録画または遠隔操作でシャッターを切る手口です。医師や臨床検査技師が「電極を装着する」という名目で至近距離に立ち続けるため、手元に小型端末を忍ばせていても受診者が気づくのは極めて困難です。
一方、健康診断のレントゲン検査においては、撮影室内の防護壁の隙間や脱衣カゴの底、機器の操作パネル付近に健診更衣室の隠しカメラと同様の超小型Wi-Fiカメラを両面テープで固定する手口が確認されています。技師が操作室(防護ガラスの奥)に入る際、「受診者が一人で着替えや体勢調整を行うわずかな時間」を狙い撃ちにするのが特徴です。
さらに、受診者共用の更衣スペースでは、消臭剤や火災報知器、壁面のフックに見せかけた偽装型カメラが設置されていた事例も報告されています。近年の小型カメラは直径数ミリメートルのピンホールレンズを採用しており、肉眼でパッと見渡しただけでは違和感を察知しにくい構造になっています。