インターネット上の「巨大猫の体重ランキング」などの記事を見ていると、「体重20キロ超えの猫」といった記述を目にすることがあります。しかし、現代の客観的なギネス公式レギュレーションにおいて、そうした体重記録は一切更新されていません。
かつてギネス世界記録には「世界一重い猫(Heaviest Cat)」という部門が正式に存在していました。その歴代最高記録は、オーストラリア・クイーンズランド州に生息していたトラ猫「ヒミー(Himmy)」が1986年に樹立した21.3kg(46.8ポンド)です。ヒミーの胴回りは84cmにも達し、自力で歩行することすら困難な状態でした。ヒミーが同年に呼吸不全で死亡した後、ギネスワールドレコーズ社は極めて重要な倫理的決断を下します。
「記録欲しさに飼い主がペットに過剰な給餌を行い、健康を不可逆的に破壊する行為を助長してはならない」――この動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から、ギネス社は猫を含むすべての愛玩動物の「最重量記録部門」を完全廃止しました。
したがって、現在有効な猫のギネス世界記録一覧における大型指標は、骨格の健全な成長に基づく以下の2点に限定されています。
- 最長猫(Longest Cat):鼻先から尻尾の骨の先端までの長さを専門獣医師立ち会いのもとで厳密に測定(歴代記録:スチューイー 123.4cm / 存命記録:バリベル 120cm)。
- 最も背の高い猫(Tallest Cat):地面から肩甲骨の最上部(キ甲)までの高さを測定(存命記録:フェンリル 47.83cm)。
SNS等で見かける「体重15kgの巨大猫」の多くは、品種本来の骨格による大型化ではなく、病的な病的肥満に陥っているケースが少なくありません。猫種本来の美しさと健康を度外視した重量信仰は、動物虐待と隣り合わせであるという事実は強く認識されるべきです。