北海道での静養を経て、少しずつ音楽への情熱を取り戻し始めた玉置浩二の傍らには、尾崎豊や浜田省吾らを手がけた伝説的音楽プロデューサー・須藤晃の存在がありました。玉置浩二と田園における須藤晃との共作経緯は、机の上で言葉をこねくり回すような一般的な作詞作業とは一線を画していました。
須藤晃は玉置浩二の内に溜まった澱のような感情、叫び、そして北海道で感じた飾らない想いを、対話を通じて丁寧にすくい上げていきました。玉置浩二が口ずさむメロディや断片的なフレーズに対し、須藤晃が言葉を投げかけ、玉置浩二が「そう、それなんだよ!」とギターをかき鳴らす。二人の魂のセッションから、気取ったレトリックを削ぎ落とした「泥臭く、ありのままの言葉」が次々と紡ぎ出されていきました。
そして1996年7月、この楽曲はフジテレビ系木曜劇場『コーチ』(主演:安田成美、玉置浩二)の主題歌として世に放たれます。玉置浩二のドラマ『コーチ』主題歌詳細まとめを振り返ると、千葉県九十九里浜の缶詰工場を舞台に、挫折した人々が再生していくドラマの温かな世界観と、玉置浩二自身が演じた愛すべき従業員・下川啓介の朴訥なキャラクターが『田園』と完璧にリンクしていました。
ドラマのエンディングで流れる『田園』は視聴者の涙腺を刺激し、CDシングルは玉置浩二のソロ名義として最大のヒットとなる累計92.4万枚(オリコン調べ)を記録。同年の『第47回NHK紅白歌合戦』では、当時ジャニーズ事務所の第一線で活躍していたTOKIOをバックバンドに従え、魂の宿った伝説の生演奏パフォーマンスを披露しました。当時の歌手別瞬間最高視聴率で59.9%という驚異的な数値を叩き出し、日本中のお茶の間にその存在を刻み込んだのです。