今でこそ円熟味あふれる文化人としての顔も持つ宮沢和史ですが、彼が世に放たれた瞬間の衝撃は凄まじいものがありました。1966年1月18日に山梨県甲府市で生を受けた彼は、明治大学経営学部に在学中の1986年にTHE BOOMを結成。当時の東京・原宿の歩行者天国(通称・ホコ天)で路上ライブをスタートさせました。
1980年代後半のバンドブーム黎明期、原宿のホコ天は派手なメイクや奇抜な衣装で着飾ったバンドで溢れかえっていました。その中でTHE BOOMは、スカやパンクを基調としながらも、どこか哀愁を漂わせる良質なメロディと、宮沢和史の圧倒的な歌唱力、そして何より「群を抜いた美少年フロントマン」の存在感で瞬く間に異彩を放ちます。当時のライブに足を運んでいたファンの証言によると、「原宿の路上に立っているだけで発光しているような透明感があり、通行人が次々と足を止めていた」といいます。
1989年にアルバム『A PEACETIME BLOW』とシングル『君はTVっ子』でメジャーデビューを果たして以降、宮沢は単なるアイドル的人気にとどまらず、ロック、フォーク、ラテン、サンバなど世界の音楽を果敢に取り込み、独自の音楽性を確立していきました。当時の音楽誌の表紙を飾るたび、その彫刻のような容姿と先鋭的なサウンドのギャップが、音楽評論家やリスナーを熱狂させたのです。