ネット上やファンの間で長年議論の的となってきたのが、芸者コント台本なしの真相です。当時のディレクターや番組スタッフ、そして柄本明さん自身の回想によって、その内幕は現在では明確に解明されています。
結論から言えば、完全な白紙状態から始まったわけではなく、舞台設定や「ここで二人でお茶を飲む」「噂話をする」といった数行の大枠(ト書き)は存在していました。しかし、交わされるセリフや細かなリアクションに関しては、台本上の取り決めは事実上存在せず、志村けん柄本明アドリブ真相は「骨組みだけを決めた実質的な即興劇」であったことが明らかになっています。
柄本明さんは後年のトーク番組で次のように振り返っています。
「台本はあるにはあるんですが、ペラッとした紙に『二人が座ってお茶を飲んでいる』としか書いていない。志村さんからは『柄本さん、適当にやってよ』としか言われない。カメラが回ったら、志村さんが何を仕掛けてくるか全くわからないから、こっちは命がけですよ。絶対に吹き出さないように耐えるんだけど、志村さんの顔を見たらどうしても笑ってしまう」
リハーサルを極限まで減らし、本番の1テイク目に生じる「本物の驚き」と「耐えきれない笑い」をそのまま収録する。志村さんが設計したこの即興空間において、柄本さんは単なるゲストではなく、志村さんの予定調和を真っ向から壊しにかかる共犯者として機能していました。