現場の実態をリサーチすると、働き方のアップデートが進んだことで、従来とは異なる新しい形の取り違えが起きています。特に注意すべきはビジネスでの誤用例と注意点です。
典型的な事例が、「フラットな組織風土」と「礼節の欠落」を取り違えるケースです。オープンなコミュニケーションを掲げるスタートアップやIT企業において、上司や社外のステークホルダーに対してタメ口同然の口調で接し、「うちはフランクな社風ですから」と開き直る若手や中途採用者の姿が見られます。親しみやすさと無礼の境界線を完全に取り違えた結果、取引先から契約を打ち切られる事態にまで発展しています。
また、注目されている「心理的安全性」という概念も格好の標的になっています。本来の心理的安全性とは「チームの成果のために率直な意見や懸念を安心して言える状態」を意味しますが、これを「どんな怠慢や未熟な仕事も許されるぬるま湯」と取り違え、厳しいフィードバックを受けると「心理的安全性が侵害された」と主張するトラブルが各地で報告されています。
こうした状況に対するネットの反応と対処法を追跡すると、SNSや知恵袋、オープンチャットには管理職や同僚からの悲痛な叫びが溢れています。
「注意をすると『ハラスメントだ』と即座に反論され、建設的な話ができない」
「自分の都合だけを主張して、チームの納期遅延には無関心。それを『多様性の尊重』と言い張るのが一番タチが悪い」
ネット上に寄せられる生の声からは、歪んだ自己権利意識に対する周囲の疲弊と諦めが色濃く滲み出ています。これに対する有効な対処法は、感情論で説教することではありません。職務記述書(ジョブディスクリプション)やKPI、チーム内の行動規範を具体的な数値と文書で可視化・明文化し、「事実と基準」に基づいて淡々とフィードバックを行うことが、感情的泥沼を避ける唯一の防壁となります。