帰宅途中やジョギング中、なぜか自分の頭の上だけに虫の塊がついてくるように感じた経験はないでしょうか。この群れこそがユスリカの習性である「蚊柱(スウォーム)」です。
蚊柱を形成している個体の大部分は交尾を目的としたオスです。夕暮れ時になると数百から数万匹のオスが集まり、羽音の周波数を共鳴させながら群れを作ってメスを待ち構えます。そこへ飛び込んできたメスと空中で交尾を行うための求愛行動です。彼らには周囲よりもひときわ高く突き出た構造物を目印にする習性があるため、平坦な道を歩く人間の頭部や電柱、自動販売機の上が格好のランドマークとなり、蚊柱が頭上に張り付くような現象が起こります。
主な生息地は川、農業用水路、側溝、池などの淡水域です。特に街中の側溝や都市河川など、有機物が蓄積して富栄養化した水辺は幼虫にとって絶好の繁殖場となります。春先や秋口など、水温と気温のバランスが適温に達したタイミングで一斉に羽化するため、視界を覆い尽くすほどの爆発的な大量発生につながります。