ネット上の野球掲示板やSNSでは、たびたび「アメリカは本気を出していない」「メジャーリーガーが出ないプレミア12でポイントを稼いでいるだけのランキングに意味はあるのか」といった懐疑論が噴出します。しかし、これは国際スポーツガバナンスの実情を誤認した見解です。
アメリカ代表がランキングで苦戦する主因は、代表編成におけるMLB球団のビジネス都合と拘束力にあります。MLB球団は巨額の年俸を支払う40人枠の登録選手に対し、怪我のリスクを避けるためシーズンオフの国際大会への出場を制限します。そのため、プレミア12などの大会にはマイナーリーグ(AAA〜AA級)の若手や独立リーグの選手で編成せざるを得ず、ベストメンバーを組めない構造的ジレンマを抱えています。
一方、アメリカ代表はアンダー世代(U-12、U-15、U-18)の育成においてはUSAベースボールが多額の予算を投じ、選抜チームを派遣して高ポイントを獲得しています。つまり、アメリカも決してWBSCランキングを軽視しているわけではなく、制度の制約上「トップチームでポイントを取りこぼしている」のが実情です。
対照的に日本は、NPBの全面協力によりプレミア12にも国内トッププロを惜しみなく投入します。代表活動を興行および国威発揚の重要コンテンツと位置付ける日本と、MLBという巨大ビジネスの配下に代表を位置付けるアメリカとの「思想の相違」が、ポイント差として如実に反映されているに過ぎません。