『SUN』の歌詞を読み解く上で、最大の鍵となるのがサビ直前のBメロで高らかに放たれる「Hey J」というフレーズです。リリース当初からファンの間では「Jとは誰のことなのか」「特定の人物に向けた私信ではないか」と様々な議論が巻き起こりました。この謎について星野源本人は、ラジオ番組やインタビュー、自著の中で明確に明かしています。この「J」とは、2009年に急逝した伝説のエンターテイナー、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の頭文字にほかなりません。
幼少期からマイケル・ジャクソンの音楽とダンスに強烈な影響を受け、自らの音楽的ルーツとして公言してきた星野源にとって、マイケルは暗闇を照らし続けてくれた「太陽」そのものでした。楽曲の仮タイトルがそのまま『SUN』であったことからも窺える通り、この曲は「自分を暗闇から救い出してくれた偉大な存在=マイケル」への返礼であり、天国へ捧げるラブレターという側面を持っています。
「祈り届かぬなら 悪魔と踊るよ 前を向いて」というフレーズは、マイケルの代表曲である『Thriller』のダークかつコミカルな世界観を想起させます。単に神に救いを求めるのではなく、たとえ不条理な現実に直面し、悪魔の住む世界に引きずり込まれそうになったとしても、自らの足で前を向いてステップを踏み続けるという気概。星野源が提示するポップスは、能天気なポジティブさではなく、絶望をダンスへと昇華させるタフな意志に満ちています。