「106サウスインディアン」を語る上で絶対に外せないのが、不動の看板メニューであるバターチキンカレーです。一般的にバターチキンといえば、トマトと生クリームが前面に出た甘口のマイルドなカレーを想像しがちですが、同店のそれは次元が異なります。濃厚なカシューナッツペーストと芳醇なバターのコクが押し寄せた直後、カルダモンやクローブの清涼感あるスパイスが鼻腔を突き抜け、後味には心地よいピリッとしたキレが残ります。タンドール窯で香ばしく炭火焼きされた大ぶりのチキンティッカがゴロゴロと沈んでおり、噛み締めるたびに肉汁の旨味がカレーと混ざり合います。
対極に位置する名作が、デリーのDNAを色濃く受け継いだ「カシミールカレー」です。漆黒のルーはサラサラとしており、一口含んだ瞬間に突き抜ける鮮烈な辛味と深いコクが押し寄せます。激辛でありながら単なる痛覚の刺激にとどまらず、玉ねぎの甘みと複雑なスパイスの重なりが広がるため、汗を流しながらもスプーンが止まらなくなる中毒性を誇ります。
南インドの食文化を体感したい層には、サンバル(豆と野菜のスープ)やラッサム(酸味と黒胡椒の効いたスープ)、各種ポリヤル(炒め物)が美しく並ぶ「ミールス」が絶大な支持を集めています。プレート上で数種類のカレーや副菜を少しずつ混ぜ合わせることで、酸味、苦味、辛味、旨味が幾重にも変化していく味わいのグラデーションは、まさに南インド料理の真骨頂です。ランチタイムには、これらのカレーにパリッと香ばしいナンやライス、タンドリーチキンがセットになった手頃なセットが用意されており、昼夜を問わず注文が殺到しています。