女性政治家を取り巻く世論形成において、見逃せないのがネット空間における過剰な情動反応です。政治資金規正法違反や公職選挙法をめぐるトラブル、あるいは公務中の私的な行動が報じられた際、男性議員に比べて女性議員に対する糾弾のトーンは明らかに人格否定へとシフトしやすい傾向があります。
SNSやネット掲示板の書き込みを分析すると、男性議員の不祥事では「利権構造」「派閥の責任」といった組織的背景に批判が集まりやすいのに対し、女性議員の場合は「身の程知らず」「ヒステリック」「母親・女性としての資質」といったジェンダーに直結した攻撃言説が一気に拡散します。これは、有権者の無意識下に「女性は潔白で慎ましくあるべきだ」という無謬性の幻想が存在するためです。
「清廉潔白な広告塔」として祭り上げられた女性政治家が一度でも綻びを見せると、裏切られたと感じた大衆の怒りは倍加します。自著や手記で当時の心境を語ったある元女性議員は、「男性議員なら『豪腕』で済まされる強引さが、女性というだけで『傲慢でヒステリック』と評された。公の場で見せた一瞬の表情の翳りすらネットで切り抜かれ、拡散される恐怖があった」と述懐しています。この非対称なプレッシャーこそが、女性政治家の精神的消耗を招く最大の要因です。