本作の象徴であり、邦画史に残る名場面として語り継がれるのが、光差し込む森の中で交わされたキスシーンです。写真コンテストの応募作品という口実で、静流は誠人に「誕生日のプレゼントにキスして」とねだります。
ファインダー越しではなく、直接唇を重ねた瞬間に静流が見せた微笑み。それは誠人への純粋な好意であると同時に、「恋をして、大人の身体になり、死を選ぶ覚悟を決めた瞬間」でもありました。キスを終えた直後、静流が放つ「誠人、今度キスしてくれない?」「少しは好きになってもらえたかな?」という言葉には、彼女の全人生が凝縮されています。
宮崎あおいの天才的な演技力は、あどけない少女から凛とした大人の女性へと変貌を遂げるグラデーションを完璧に演じ分けました。玉木宏が演じる誠人の鈍感さと純真さがあったからこそ、このワンカットは観客の胸に深く刺さり続ける不朽の名シーンとなりました。