Q1:『芋虫』の主人公・須永中尉には実在のモデルがいるのですか?
A1:特定の人物がそのままモデルになったわけではありません。ただし、日露戦争などの近代戦によって生み出された重度の傷痍軍人の過酷な現実や、当時の医学的記録、乱歩の個人的な身体的コンプレックスや心理的探求が色濃く反映されています。
Q2:妻の時子はなぜ最後に夫の両目を潰してしまったのですか?
A2:言葉を交わせない夫との歪んだ生活の中で、時子の加虐心と感情の高ぶりが限界に達したためです。夫が自分を睨みつける視線に恐怖と苛立ちを覚え、衝動的に指を突き立ててしまいましたが、その直後に我に返り、取り返しのつかない罪悪感に打ちのめされることになります。
Q3:若松孝二監督の映画『キャタピラー』は小説『芋虫』とどう違うのですか?
A3:原作小説が密室での倒錯した心理劇・耽美的な怪奇性に重きを置いているのに対し、映画『キャタピラー』はより明確に「反戦」と「国家への怒り」をテーマとして打ち出しています。軍神として祀り上げられた男の加害者性と、戦時下の農村で翻弄される女性の生々しい苦悩が強く描かれています。