寿司における「一貫」という単位が1個を指すのか、それとも2個を指すのかという問いに対する客観的な結論は、「提供する店の業態や文化によって定義が使い分けられている」というのが実態です。決してどちらか一方が完全な間違いというわけではなく、日本の食文化が商業的に発展する過程で、2つの異なるルールが共存するようになりました。
銀座や麻布十番などの高級寿司店や、職人が客の目の前で握る本格的なカウンター寿司では、「1貫=寿司1個(シャリ1玉にネタ1枚)」を指すのが共通認識です。客が「コハダを一貫」と頼めば、職人は迷わず1個だけを握って付け台の上に置きます。ここでは1貫が完全に個数の単位として機能しています。
一方で、昭和の時代に庶民の胃袋を支えた町寿司や出前専門店、あるいは一般的な回転寿司においては、「1皿(あるいは注文1回)につき2個」提供されるスタイルが長らくスタンダードでした。そのため、日常会話として「一貫頼んだら2個出てくるもの」と認識している生活者が極めて多いのが現実です。この認識のギャップこそが、外食時の混乱を生み出す最大の引き金となっています。