待乳山聖天の真骨頂とも言えるのが、毎朝欠かさず行われている「浴油祈祷(よくゆきとう)」だ。清めた油を聖天像に注ぎ続け、人々の願望成就と災厄退散を祈る密教の極秘法である。厳粛な空気の中で炊かれる護摩の煙と、読経の声が早朝の境内に響き渡る時間帯、ここには言葉にできないほどの迫力が漂う。
ビジネスの重大な決断を控えた経営者や、人生の転機に立つ人々が、この早朝の祈祷に合わせて静かに境内を訪れる。他人に頼るのではなく、自らの覚悟を神前に誓う。そんな真剣勝負の場としての佇まいが、長年にわたって途切れることなく受け継がれてきた。