TRPGの世界におけるファンブルは、ゲーム進行を大きく揺るがす極めてスリリングなイベントとして位置づけられています。行動の成否を判定する「ダイスロール(サイコロを振る行為)」において、もっとも悪い出目を出してしまった状態を指し、公式ルールブック上では「致命的失敗」と定義されます。
プレイヤーがもっとも気になるのが、「ファンブル」と「クリティカル」の決定的な違いです。クリティカル(Critical)が「極めて劇的な大成功」であり、追加ダメージや情報の全開示、ボーナス行動といった圧倒的有利をもたらすのに対し、ファンブルはその対極に位置します。単に「行動が失敗した」で終わる通常の失敗とは異なり、状況が劇的に悪化する強烈なペナルティが科される点が最大の特徴です。
国内で圧倒的な人気を誇る『クトゥルフ神話TRPG(Call of Cthulhu / CoC)』を例にとると、版によってダイスの判定基準が明確に定められています。
- 第6版ルール:100面ダイス(1d100)を振り、目標値以下の数値が出れば成功。その中で「96〜100」が出た場合がファンブル(※ハウスルールで96〜99を通常の失敗、100のみをファンブルとする卓も存在)。
- 第7版(新クトゥルフ神話TRPG)ルール:目標値が50未満の場合は「96〜100」がファンブル、目標値が50以上の場合は「100」のみがファンブルとなる合理的な確率設計に変更。
特にプレイヤーの間で恐れられ、同時にネタとして愛されているのが「CoCにおける100ファン(出目100のファンブル)の処理」です。1d100の判定において確率わずか1%の「100」を叩き出した際、キーパー(ゲームマスター)は単に「銃の弾が外れた」とするのではなく、「銃が暴発して自身がダメージを負い、銃身が破損して使用不能になる」「目星(探索)に失敗した上に、足元を滑らせて階段から転落し周囲に大音響を響かせる」といった、ドラマチックかつ過酷な状況描写を下します。
2個の6面ダイス(2d6)を使用するファンタジーTRPG(『ソード・ワールド2.5』など)の場合、サイコロの合計値が最低値の「2(ピンゾロ)」になる確率はおよそ2.78%(36分の1)です。この低確率を引いてしまった瞬間に巻き起こる絶望と爆笑が、TRPGセッションの醍醐味として共有されています。