1億円を超える名車を維持することは、並大抵の財力と情熱では不可能です。トヨタ2000GT維持費とレストアの現場では、特有の技術的障壁が立ちはだかります。
搭載される「3M型」2.0L直列6気筒DOHCエンジンは、三国工業製ソレックスツインチョークキャブレターを3連装した極めて繊細なユニットです。日常的な同調セッティングはもちろん、専門の熟練メカニックによる定期的なオーバーホールが欠かせません。部品単体の枯渇も深刻でしたが、2020年以降はトヨタ公式の「GRヘリテージパーツプロジェクト」によってトランスミッションギアやデフ関連部品が復刻され、維持環境は大幅に改善されつつあります。
レストア技術の高さを証明する象徴的な出来事として語り継がれるのが、2014年に富山県で起きたトヨタ2000GT事故の真相です。国道156号線を走行中だった個体に突如として樹齢数百年規模のブナの巨木が直撃し、車体は屋根から真っ二つに押し潰される大惨事となりました。ドライバーが奇跡的に軽傷で生還した一方、車体は全損と見られていました。
しかし、オーナーと熟練板金職人、有志のエンジニアチームが結集し、ミリ単位でフレームを修正しボディパネルを一から叩き出す執念のレストアを敢行。数年の歳月をかけて再び公道を走れる状態へと完全復活を遂げました。この奇跡の復活劇は、日本の匠の技と2000GTへの深い愛を象徴する伝説となっています。