かつて西口ロータリーを見下ろしていた小田急百貨店新宿本館は、2022年10月に閉館し、半世紀以上の歴史に幕を下ろしました。その後開始された地上解体工事は2025年までに地上部の躯体撤去を完了し、2026年現在の新宿駅西口再開発現場は、新たなランドマークとなる地上48階・地下5階建ての複合超高層ビル(2029年度竣工予定)の基礎および鉄骨建方工事という重要フェーズに突入しています。
事業主体の小田急電鉄および東京地下鉄(東京メトロ)が発表したマスタープランによると、このプロジェクトの骨子は単なるビルの建て替えにとどまりません。駅と街をシームレスにつなぐ「歩行者デッキ」の重層的整備や、地下空間の再編を伴う大規模なグランドターミナル構想です。しかし、この壮大な変革期にある現在こそが、歩行者動線において最も負荷のかかる「過渡期のエアポケット」を生み出しています。
長年親しまれてきた地下コンコースの直通通路は工事壁によって細かく分断され、利用者は迂回を強いられています。かつて地上と地下の結節点として機能していた吹き抜けのスロープや階段が閉鎖されたことで、自分が今地下何階にいてどの方向を向いているのかを直感的に把握することが極めて困難な環境が形成されているのです。