ここで強く是正しておかなければならないのは、「性格を直さなければ病気は治らない」「病気になったのは心が弱かったからだ」という悪質な俗説です。これは医学的な因果関係を取り違えた危険な誤解と言わざるを得ません。
自己免疫疾患になりやすい人を巡る議論において、性格はあくまで「ストレスを受け流せない行動様式」を介した間接的なリスクファクターに過ぎません。ウイルスや紫外線、女性ホルモンといった生物学的基盤が存在しない限り、どれほど我慢強い人であっても自己抗体が作られることはないのです。
また、健康診断や人間ドックで広く行われている膠原病の血液検査(抗核抗体)についても、深刻な誤解が存在します。抗核抗体検査(ANA)が40倍や80倍で陽性判定が出たからといって、直ちに膠原病を発症しているわけではありません。健常人であっても高齢女性を中心に10〜20%程度は陽性を示します。抗体値の陽性判定と、実際に組織障害を伴う疾患の発症との間には明確な乖離があることを正しく認識する必要があります。