道南の展望地といえば誰もが函館山山頂展望台を思い浮かべますが、旅のプロたちの間では「きじひき高原こそが道南随一の開放感」と称賛される場面が少なくありません。両者の決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
函館山の夜景は、津軽海峡と函館湾に挟まれた独特のくびれ地形に密集する街の光を至近距離から俯瞰する「凝縮された美」です。一方で、きじひき高原から見下ろすパノラマは「函館裏夜景」と呼ばれ、函館市街地の光の帯を遠景に据えながら、手前には北斗市の平野部、そして遠く津軽海峡を挟んで下北半島までがワイドに広がります。視界を遮る構造物が一切なく、水平線が丸みを帯びて感じられるほどの圧倒的スケール感は、まさに函館山を凌ぐダイナミズムを秘めています。
さらに昼間の景観においてきじひき高原を唯一無二たらしめているのが、「大沼・駒ヶ岳の眺望スポット」としての側面と、「新函館北斗駅とパノラマ展望台」の位置関係です。北東に目を向ければ活火山・北海道駒ヶ岳の荒々しい山肌と大沼の湖面が広がり、南東に目を向ければ新幹線の終着駅である新函館北斗駅、そして大地を一直線に貫く北海道新幹線の高架橋がミニチュアのように見下ろせます。新幹線が滑るように走っていく姿を展望台から撮影できるポイントは日本全国を見渡しても極めて稀有であり、鉄道愛好家や風景写真家にとって聖地となっている理由がここにあります。