撮影現場でのオダギリジョーの姿勢は、事前の「特撮嫌い」という言葉とは裏腹に、鬼気迫るものがありました。メインライターの荒川稔久や石田秀範監督らとともに、セリフの一つひとつ、五代雄介が暴力を振るう瞬間の精神的苦痛の描写に至るまで、連日徹底的な議論が重ねられました。
その象徴的なエピソードが、変身ポーズ秘話です。当初、五代雄介の変身アクションは、昭和ライダーの系譜を汲む大仰で様式美を強調した動きが考案されていました。しかし、オダギリは「古代の遺物であるベルトの力に呼応して変身する人間が、あらかじめ決められた芝居がかったポーズをとるのは不自然ではないか」と制作陣に異議を唱えました。アクション監督の金田治やスタッフ陣と膝を突き合わせ、古代文字のフォルムや呼吸感を意識した、静けさと祈りを内包する洗練された「構え」へと昇華させたのです。
さらに、作中で五代雄介の唯一無二の理解者であり、バディとして圧倒的な支持を集めた警視庁の刑事・一条薫役を演じた葛山信吾との関係性も見逃せません。撮影当時、若手俳優同士として互いに演技論をぶつけ合い、過酷なスケジュールを支え合いました。オダギリは後年になっても葛山への深い敬意を口にしており、プライベートでも連絡を取り合う間柄であることが明かされています。作中で描かれた「警察と未確認生命体の戦い」という重厚なリアリズムは、オダギリと葛山の間に流れる嘘偽りのない信頼関係があってこそ成立した奇跡の化学反応でした。