かつては中高年の慰安旅行というイメージが少なからず漂っていたこの地を、全く新しい世代へと開放したのが映像文化の力だ。武内英樹監督がメガホンを取り、社会現象を巻き起こした映画『翔んで埼玉』シリーズ。劇中で痛快なアイロニーとともに描かれた埼玉のローカル風景は、作品がNetflixなどを通じて世界配信されたことで、インバウンド旅行者にとっても格好の「ディープな日本体験」として浮上した。
さらに、新一万円札の顔となった近代日本経済の父・渋沢栄一が愛した秩父・埼玉の風土も、改めて歴史的価値を見直されている。単なるローカルな観光地ではなく、物語と歴史が複層的に積み重なった文化遺産として、川下りは今や新たな文脈で消費されているのだ。