テレビメディア論やグループダイナミクスの観点から『嵐にしやがれ』を総括すると、この番組は「昭和型バラエティの解体と、平成・令和型共感バラエティの確立」を果たした記念碑的作品であったと評価できます。
かつてのアイドルバラエティは、司会者からの無茶振りや上下関係によるイジリ、リアクション芸が主流でした。しかし『嵐にしやがれ』では、誰一人として他者を貶めることなく、互いの失敗を笑いに変え、誰かがミスをしても全員でフォローして肯定的なオチに昇華させるという「心理的安全性」が徹底されていました。
メンバー各自が適切な心理的バウンダリー(境界線)を保ちながら、相手の領域を尊重し合う姿は、視聴者に対して強い安心感と心地よさを提供しました。視聴者が『嵐にしやがれ』に惹きつけられた本質は、単なる企画の面白さだけでなく、「この5人が同じ空間で楽しそうに笑い合っている姿そのもの」に最大の癒やしと価値を見出していたからに他なりません。