シディがなぜこれほどまでに仲間を思い、自らの命を顧みずに戦うのか。その背景には、幼少期に味わった極限の絶望と、自らの身体を異能の実験体に改造された「元凶組織(トッププレデター)」にまつわる凄惨な過去が存在します。
かつて人間であったシディは、不条理な暴力と人体実験によってミノタウロスの因子を強制的に植え付けられました。異形と化した肉体への恐怖や自己嫌悪、人間社会からの疎外感に苛まれていた彼を救い出したのが、同じく過酷な混血の業を背負ったカゲチヨやヒサメでした。初登場エピソードとなった2019年9月配信のプロローグにおいて放たれた、「だったら、俺はカレコレ屋の守護神だ」という象徴的な台詞は、居場所を見出したシディの魂の誓いそのものです。
自らの異能を「呪い」ではなく「仲間を守る盾」へと昇華させたプロセスには、トラウマを乗り越えようとする人間の強靭な精神性が宿っています。普段の彼が料理や掃除を一手に引き受け、カレコレ屋の生活基盤を献身的に支えているのも、二度と掛け替えのない日常を失いたくないという強い防衛本能の表れといえます。