かつて昭和・平成期の外国語学習教材で「褒められたときの返答」として猛烈に教え込まれたのが「哪里哪里(nǎlǐ nǎlǐ)」でした。直訳すると「どこがですか(とんでもない)」という謙遜表現ですが、2026年現在のネイティブコミュニティにおける実情はどう変化しているのでしょうか。
哪里哪里の謙遜表現とニュアンスについて、上海や北京の20〜30代ビジネスパーソンを対象としたSNSやコミュニティの声を調査すると、「時代劇や昔のドラマのセリフのように聞こえる」「現代で使うと芝居がかっていてわざとらしい」といった指摘が多数を占めます。年配の世代や外交儀礼の場を除き、日常的な褒め言葉や感謝に対して「哪里哪里」を連呼する人は劇的に減少しています。
現代の自然な会話では、相手から「中国語がお上手ですね」「素晴らしい成果ですね」と感謝・賞賛された場合、以下のようなフレーズで柔らかく謙遜するのが主流です。
- 没有没有(méiyǒu méiyǒu):「いえいえ、そんなことありません」と手を軽く振る。現代で最も自然な定番の謙遜。
- 還好(hái hǎo):「まあまあですよ」「まだまだです」という等身大の返し。
- 過獎了(guòjiǎng le):ビジネスシーンなどで「褒めすぎですよ」「恐縮です」と大人の品格を保ちつつ返す表現。
古いテキストに記載された知識を鵜呑みにして「哪里哪里」を連発すると、相手を過度に持ち上げすぎたり、会話のテンポを崩したりする原因になります。現代の生きたトーンへのアップデートが不可欠です。