そもそも『ポケットモンスター』は、生みの親であるゲームクリエイター・田尻智氏の少年時代の昆虫採集体験と、「交換とコミュニケーション」という純粋な遊びの思想から産声をあげた。異なるバージョンを持ち寄り、通信ケーブルでモンスターをやり取りする喜び――そこには利得や投機の余地など微塵もなかった。
その後、株式会社ポケモンの代表取締役社長としてブランドを世界規模のエンターテインメントへと育て上げた石原恒和氏は、ゲームのみならずカードゲームやオフィシャルショップなど、多角的なメディアミックスを強力に推進してきた。石原氏の手腕によってポケモンは国境や世代を超える巨大IPへと飛躍したが、その巨大さゆえに「顔の見えるコミュニティ」の維持は極めて困難な挑戦となっている。
創業の精神である「子どもたちに届ける温かな体験」と、資本市場や転売市場が巻き起こす狂騒。原点にあるピュアな理念をいかにして守り抜くかが、いまブランドマネジメントの根幹で問われている。