大阪編のクライマックスとして語り継がれるのが、妖怪軍団の頭領「ぬらりひょん」との文字通り命懸けの死闘だ。次々と形態を変え、不死身とも思える再生能力と予測不能の攻撃を繰り出すぬらりひょんに対し、岡八郎はハードスーツの圧倒的火力で挑んだ。一時は敵の巨躯を粉砕し、圧倒的な優勢を誇った岡だったが、相手の真の恐ろしさは「意識外からの攻撃以外を受け付けない」という変幻自在の適応能力にあった。
絶体絶命の違和感を瞬時に察知した岡は、自らのプライドや誇りを一切捨て、不可視化を行使して戦場からの敵前撤退を選択する。一見すると卑劣とも取れるこの撤退劇こそ、彼が7度も生き延びてきた冷徹な生存哲学そのものであった。しかし、妖怪の執念は岡の想像を超えていた。油断した一瞬の隙を突かれ、変わり果てた姿で発見される結末は、ダークファンタジーとしての作品の真骨頂であり、読者に底知れぬ絶望と強烈なトラウマを植え付けた。