奈良県天理市に位置する当社の周辺には、日本最古の古道として名高い山の辺の道が伸びる。緩やかな起伏が続くこの小道は、古代豪族の古墳群や万葉歌碑が点在する生きた野外博物館だ。近年、自然の景観と精神文化の深奥を同時に体感する宗教ツーリズムが国内外から注目を集めており、この回廊の中核として社頭の存在感が増している。
大和平野の田園風景を眺めながら歩を進めると、突如として現れる長大な参道。この空間構成自体が、現世から聖域へと意識を切り替える装置として機能している。古道を歩き、土を踏みしめながら神社を目指す体験は、現代人が忘れかけていた精神の充足をもたらす。