リング上では互いを憎み、流血の惨劇を繰り広げていた二人だが、カメラの裏側で育まれていたのは、他者には決して介入できない極限の「絆」だった。過酷な移動スケジュールと命がけの試合をともに生き抜いた同世代として、誰よりも相手の実力と覚悟を認め合っていたのは、他ならぬ二人自身だったのだ。
「相手がダンプ松本だったからこそ、自分はどこまでも這い上がることができた」と語る長与。そして、「千種という最高の光がいたから、私は世界一嫌われる悪役になれた」と振り返るダンプ。敵でありながら、互いの存在なくしては成立し得なかった歪で美しいリスペクトの形。血塗られた抗争の裏に秘められていたのは、友情という言葉すら安っぽく思えるほどの強い精神的共鳴だった。