宇多田ヒカルの才能を開花させた背景には、父でありプロデューサーの宇多田照實の存在を外すことはできません。幼少期からスタジオが遊び場だった環境の中、母が体現していた昭和の演歌の情念と、父がもたらした最新のR&Bやポップ・ミュージックの要素が自然と身体にしみ込んでいきました。
ジャンルという垣根を軽々と飛び越えるその感性は、まさに家庭という特殊な環境が生み出した奇跡です。日本の哀愁と西洋のポップネスという異質なふたつの要素が打ち消し合うことなく高め合った結果、彼女独自のサウンドスケープが完成しました。