この独特な世界観を生み出した中心人物が、オーナーの毛利透氏だ。古い建物を単に綺麗に塗り替えるのではなく、経年変化の味わいや記憶を尊重しながら新たな価値を吹き込む。彼の空間デザイン思想は、近年の蔵前リノベーションプロジェクト全体における大きな推進力となってきた。
店内に一歩足を踏み入れれば、その妥協なき細部へのこだわりに感銘を受ける。蚤の市で見出されたアンティークのガラスケース、深みのある木製家具、そして陰影を計算し尽くした静かな照明。すべてのインテリアが焼き菓子たちの表情を引き立てるために配置されている。ここは単に食料品を購入する場ではなく、空間そのものを体感するギャラリーなのだ。