中条静夫さんのキャリアにおいて、国民的人気を決定づけたのが1986年に放送を開始したドラマ『あぶない刑事』の近藤課長役です。型破りな捜査で街を駆け回るタカとユージに対し、デスクの電話を叩きつけながら放つ「大馬鹿者!」という咆哮は、番組を象徴する名言として社会現象になりました。
この名コンビを演じた舘ひろしさんと柴田恭兵さんは、後年の特番インタビューや回想録で、中条さんへの深い感謝を次のように語っています。
「中条さんがどっしりと港署のデスクに座って受け止めてくれたからこそ、僕らはどれだけアドリブを仕掛けても、思い切り暴れ回ることができた」
現場での中条さんは、若手だった二人のアドリブに対して決して怒ることなく、むしろ楽しそうにリアクションを重ねてシーンの完成度を高めていきました。怒鳴り散らすシーンの直後には、柔らかな笑顔で共演者を気遣うなど、撮影現場の空気を常に温かく和ませる大黒柱でした。